「サポかな」取材名言「“聴こえ”に自信のない方の味方になりたい!」 エース・E&L 津田博通代表
集音器を開発し、「聴こえ」で苦労する方たちへの普及に全力投球する津田社長。電子機器の開発・設計を手掛けて半世紀。従業員32名を擁するエースエンジニアリングの創業社長でもあるが、岩手の漁村に住む従兄の難聴をなんとかしたい!と2年間の歳月を費やし「Choju」を世に出した。
高齢者用の「補聴器」は、薬機法(旧薬事法)の規制下にあり医療機関等での調整が必要で、価格も100万円近いものもあるが、当社製品は
- 補聴器に比べて安価(¥50,000~)な「電気製品」
- 使用者が自分で調整が可能
- アナログ回路を採用し、広帯域の周波数のカバー
等の特徴をもつ。使用者からは、耳鳴りや聴力が改善したという声も届くという。
社名のE&Lは、「Enjoy&Long life」の略!人々の健康寿命の伸長に向け、東奔西走する津田社長の言葉を紹介する-(取材日 12月22日)
病院のない地方では難聴の人は聴こえないままの生活になるが、従兄の状態を見て、なんとか救わなければいけないと思った。
相手の話が聞こえないため、会話が成り立たず孤立していた従兄の状況を見て、エンジア魂に火が付いた津田氏。自分で操作でき、さらに「年金生活者でも購入できる価格を目指した」。2年間の試作を経て2016年に世に出した1号器は従兄にプレゼント。「テレビが聞こえるよ!」とうれしい連絡が。
試作段階ではなかなか協力者と出会えず、商品企画の良し悪しの判断が難しかった。
機能用試作品を製作し、老人ホームや介護施設を訪問、難聴者の協力を依頼するが「補聴器があるのにどうしてそんなもの」と、なかなかサンプルが集まらなかったという。試行錯誤を経て、当社製品は両耳のイヤホンと集音マイクをあえて分離。これによりハウリングがほとんど起きず、左右の音量と音の高低を自由に調整できるのだ。
一般の補聴器・集音器はデジタル回路を使っているが、「Choju」は全ての音を増加減できるアナログ回路にこだわった。デジタルは特定の音だけを補正し、その余分な処理時間が音の遅れにつながる。
昔流行したステレオの技術がアナログ回路。津田氏によれば、補聴器がカバーする周波数は500Hz~2KHzだそうだが、Chojuは100Hz~20KHz。「そもそも人間も音もアナログなので、脳になじむのはアナログの方」(技術部の金井氏)。技術的には、ノイズ(耳障りな音、耳に届けなくていい音)の調整に最も苦労したらしい。
耳からの情報が入れば楽しみが増え、笑顔も増える。
(TV音声が直接聴こえるChojuIIの開発について)友人から、92歳の母親がテレビを聞こえるようにして欲しいとリクエストがあり、リード線を追加しTVのイヤホンに接続した。92歳のこの女性は、息子さんが耳元に大声で話しても反応しなかったが、ChojuIIをつけてお笑い番組を見たら元気に笑い出したという。「テレビで音を聞く訓練ができ、今はテーブルをはさんだ距離でChojuなしに会話しています」との報告があったそうだ。
難聴者が音声を認識する訓練用に、ろうあ学校などで導入してもらえる製品を開発中だ。
現在取り組んでいる、Chojuを使った音声認識文字化システムについて。タブレット端末をつなげ、音声認識アプリで文字化する。
以前からKIPの施策をご活用いただいてきた津田社長ですが、集音器のさらなる展開を、これからも応援していきます!
株式会社エースE&L
KIP海外進出支援(国際課、大連事務所)
https://www.kipc.or.jp/business-support/internationalization/