サポかな
掲載日:2021年12月 3日
「サポかな」こぼれ話~明治維新の立身出世から130年。総合園芸業のトップランナーとして走り続ける横浜植木(3)

「1+1=3になる組み合わせを探して10年、20年と挑戦を続けます」-伊藤社長
現在青果市場で流通している、果肉が黄緑色の「アールスメロン」の多くは横浜植木が開発した品種だ。「もっと気軽に食卓にメロンを」と、栽培しやすく安定して供給できるよう工夫を積み重ねた。
また、現社長の伊藤氏(12代目)は、33年間、農場で様々な野菜の品種開発を行ってきた品種開発者で、赤肉の「クインシーメロン」生みの親だ。当時の赤肉メロンはニンジン臭く甘みが無い、おまけに日持ちしないと敬遠され、多くの技術者は開発を断念していた。
「でも、私は果肉が鮮やかなオレンジ色で栄養価が高い赤肉メロンに将来性を感じました」
異種交配で行う植物の開発は、1年に1世代、多くても2世代しか試験できず、何百種類もの掛け合わせを試すには最低でも10年はかかる世界だ。わずかな可能性に挑戦した結果。カロチン臭を取り除き、糖度が高く日持ちする「クインシーメロン」の開発に成功した。
世界初の種無しピーマン「タネなっぴー」は、肉厚、ジューシーで苦みナシ
伊藤社長は種無しピーマンも15年かけて開発したが、「遺伝子組み換えやゲノム編集で作ったのでは、とよく言われますが、異種交配です」。この技術は、2010年に特許を取得している。
面倒なタネ抜き作業がなくなり、食品工場では生産性アップ、廃棄物も抑えられた。また交配したジャンボピーマンの性質を引継ぎ、ジューシーで苦みが少ない。
「子どもが苦手な食べ物=ピーマン」とはもう言わせない?!
(取材後記)
今ではJA湘南でタネなっぴーを育てる農家が少しずつ増え、 目にする機会があるかも。それとも、苗から購入し、花粉のない雄蕊を観察しようか。
今回の取材では、明治初期の横浜に吹いた進取の気風に思いを馳せるようなお話から、万に1つを見つけるような異種交配(それも、植物という生き物相手は、10年、20年、30年がかり!)のお話まで、何もかも勉強になりました! 11月25日には「タネなっぴー」の開発と普及で令和3年度「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」を受けられた伊藤社長、ド素人相手に本当にありがとうございました。
(取材日10月8日)―「サポかな」12月号【原寸図鑑】、ぜひご覧ください。
「サポかな」こぼれ話~明治維新の立身出世から130年。総合園芸業のトップランナーとして走り続ける横浜植木(1)
「サポかな」こぼれ話~明治維新の立身出世から130年。総合園芸業のトップランナーとして走り続ける横浜植木(2)
横浜植木株式会社
https://www.yokohamaueki.co.jp/