事業承継に必要な税務の基礎知識について解説します(第3回 贈与税の課税価格と税額の計算 )

相続や贈与の理解には税務の知識が必要となりますが、特に贈与税に関する重要なポイントのみに絞って5回シリーズで解説します。第3回は、「贈与税の課税価格と税額の計算」について解説します。
贈与税の課税価格の計算
贈与税の課税価格
贈与税の課税価格は、その年1月1日から12月31日までの間に贈与により取得した財産および贈与により取得したものとみなされる財産の価額の合計額です。
これを「暦年課税制度」といいます。
なお、贈与により取得した財産のうちに非課税財産があるときは、課税価格計算の基礎に算入されません。
贈与税の税額の計算
課税価格から、贈与税の「基礎控除」および「配偶者控除」を控除した後の金額に税率を適用して、納付すべき税額を計算します。
課税価格の計算から贈与税の納付税額までの計算過程を示すと、次のとおりです。
第1段階(課税価格の計算)
本来の贈与財産+みなし贈与財産=課税価格 |
第2段階(贈与税額の計算)
(贈与された財産の合計額(課税価格)ー配偶者控除額ー基礎控除額(110万円)/控除後の課税価格(1,000円未満の端数切捨て)×累進課税-外国税額控除=納付すべき贈与税額(100円未満の端数切捨て) |
上記の難しい計算は、顧問税理士にお任せすることとし、次の計算式を覚えておかれると良いでしょう。
贈与税額=(贈与を受けた財産の合計(課税価格)-基礎控除額110万円)×贈与税の税率-控除額 |
贈与税の基礎控除
基礎控除の金額は、110万円です。
贈与税の配偶者控除
婚姻期間が20年以上の配偶者から、次の居住用不動産又はその取得資金の贈与を受けた場合などには、その贈与を受けた居住用不動産等の課税価格から2,000万円までの金額を控除することができます。
(1) | 国内にある専ら居住の用に供する土地等又は家屋で、その贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに受贈者が居住し、かつ、その後も引き続き居住する見込みである場合 |
---|---|
(2) | (1)の居住用不動産の取得資金で、その金銭の贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに取得した居住用不動産に受贈者が居住し、かつ、その後引き続き居住する見込みである場合 |
贈与税の税率と税額
贈与税の税率は、次のような超過累進税率となっています。
贈与税額は、贈与税の配偶者控除および基礎控除後の課税価格に対して、この税率を適用して計算します。
贈与税の速算表(平成27年1月1日以降適用)
一般贈与財産(※1) | 特例贈与財産(※2) | ||||
---|---|---|---|---|---|
基礎控除後の 課税価格 |
一般税率 | 控除額 | 基礎控除後の 課税価格 |
特例税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | ー | 200万円以下 | 10% | ー |
300万円以下 | 15% | 10万円 | 400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 | 600万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 | 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 | 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
(※1)直系尊属以外の親族(夫、夫の父や兄弟など)や他人から贈与を受けた場合など
(※2)財産の贈与を受けた年の1月1日現在において18歳以上の子や孫が父母または祖父母から贈与を受けた場合
税額算出方法
基礎控除後の課税価格に対し、その該当欄の税率を乗じた金額から控除額を差し引いた額が税額です。
イ 3,500,000円の特例贈与財産の贈与を受けた場合の贈与税額は、
3,500,000円(特別贈与財産) - 1,100,000円(基礎控除の金額) = 2,400,000円
2,400,000円 × 15%(特別税率) - 100,000円(控除額) = 260,000円となります。
ロ 1,000,000円の一般贈与財産と4,000,000円の特例贈与財産の贈与を受けた場合の贈与税額は、
(1,000,000円(一般贈与財産) + 4,000,000円(特別贈与財産)) - 1,100,000円(基礎控除の金額) = 3,900,000円
(1) 一般贈与財産に対応する税額
(3,900,000円 × 20%(一般税率) - 250,000円(控除額)) × 1,000,000円(一般贈与財産)/5,000,000円(贈与財産合計) = 106,000円
(2) 特例贈与財産に対応する税額
(3,900,000円 × 15%(特別税率) - 100,000円(控除額)) × 4,000,000円(特例贈与財産)/5,000,000円(贈与財産合計) = 388,000円
上記(1)、(2)の合計金額
106,000円 + 388,000円 = 494,000円となります。
「税務大学校 講本」(国税庁)を加工して作成
次回は、相続時精算課税制度について解説します。
このブログ記事の詳細は、専門知識が必要となることも多いため、弁護士、税理士などの外部専門家へご確認されることをお勧めします。
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