事業承継に必要な法務の基礎知識について解説します(第5回 相続の承認と放棄)
相続や贈与の理解には民法の知識が必要となりますが、特に重要なポイントのみに絞って8回シリーズで解説します。第5回は、「相続の承認と放棄」について解説します。
相続の承認と放棄
相続の開始により相続人は被相続人に属する一切の権利義務を承継することになりますが、債務が多いような場合には相続人にとって酷となるときもあります。
そこで、民法は、相続は当然に生じるものであるとの原則の一方、相続人に対して相続財産を承継するかどうかについて選択権を与えています。
(1)相続の承認
- 単純承認
単純承認とは、債務を含めた相続財産の全てを受け入れることです。
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継するとされています。
また、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときや、相続の放棄又は限定承認をしなかったときは、単純承認をしたとみなされるされています。 - 限定承認
限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して行う相続の承認であるとされています。
つまり、一種の有限責任の承継といえます。
限定承認は、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続財産の目録を作成して提出し、限定承認する旨の申述をして行い、相続人が数人あるときは、共同相続人の全員が共同してのみ行うことができるとされています。
限定承認がされると、被相続人の財産は直ちに相続人に承継されるのではなく、一旦清算されることになります。
(2)相続の放棄
相続の放棄とは、債務を含めた相続財産の全ての承継を拒否することをいいます。
相続の放棄は、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続を放棄する旨の申述をして行うとされています。
したがって、単に遺産分割で相続財産を取得しなかったことは、法的には「相続の放棄」ではありません。
また、相続の放棄は撤回することはできないとされています。
ただし、民法の一般規定に基づく無効(錯誤等)や取り消せる場合(詐欺・強迫等)はあり得ます。この意味で取消しを認めています。
相続の放棄に係る相続人と相続分
相続の放棄をすると、その放棄した者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされます。
したがって、相続放棄した者を被代襲者として、その者の子に代襲相続は発生せず、相続の放棄があったことにより、相続人や相続分に変更が生ずることになる場合があります。
「税大講本」国税庁 (nta.go.jp)を加工して作成
次回(6回)は、「遺贈と死因贈与」について解説します。
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