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経営相談
掲載日:2023年7月10日

経営総合相談窓口の現場から~「入札による発注停止」

経営総合相談窓口の現場から

今回は「入札による発注停止」の事例について掲載いたします。

相談事例:入札による発注停止

運送業を営むA社(資本金6,000万円)は、取引先で運送業等を営むB社(資本金3億円)とは10年以上前から「運送契約書」を締結して継続的に取引を行っていました。今年に入って、運賃等の改定通知がB社から突然届き、競争入札が行われて結果、B社との月間取引額は800万円から400万円にダウンしました。

A社としては、B社の取引の一部打ち切りは、「運送契約書」(解除の申出:30日前)に違反しているのではないか。また、長期間継続取引をしていた契約を、一方的に入札通知を行い、業務を打ち切ることは法令上問題ではないのか。入札通知には、注意事項として「入札に関して、他社と話し合いを行った場合は、一切の取引を停止する」との記載があるが、法令上何か問題があるのではないか等の疑問があったため、下請かけこみ寺に相談することにしました。

回答

A社の資本金は6,000万円、B社の資本金は3億円なので、本取引は下請代金支払遅延等防止法(下請法)の資本金区分(親事業者 資本金1千万円超3億円以下、下請事業者 資本金1千万円以下(個人を含む))に該当しないため、下請法は適用されません。

また、契約の一部が解除され売上が減少したものの、半分の業務が発注され、これをA社としても受注している以上、「運送契約」は解除されたとは云えないため、「運送契約」に基づく契約不履行を主張することは難しいと考えられます。

しかし、仮に、月間売上が当初の1、2割まで減少し、B社からの当初発注と著しく相違するに至った場合は、実質的に契約解除に等しいとの主張ができる可能性があります。また、仮に運送契約書の中で、運賃単価のみならず、運送頻度・回数なども決めていれば、その契約条件の一方的な変更として、契約不履行の主張が成り立つ可能性もあります。

なお、入札通知ある「注意事項」は、入札参加者がカルテル等の違法行為を行わないように注意したものであり、これが守られなかった場合は取引を停止するという条件は法令上問題とはなりません。

今後は、B社と10年以上取引した信頼関係を基に、新たな提案を行うなど営業努力が必要ではないかとアドバイスしました。

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