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掲載日:2022年9月 1日

観光シーズンに広がるコロナ感染と大連のロックダウンの始まり

上海ロックダウン以後の中国

 上海のロックダウンが段階的に解除されて以降、中国ではオミクロン株の特性に合わせた「ダイナミックゼロコロナ政策(*)」により、各地で小規模な感染は発見されるものの、感染拡大をコントロールしてきました。 7月上中旬からは学校が暑假(夏休み)に入り、多くの人が中国国内を旅行するようになりました。避暑ができる夏の観光地、「浪漫之都(ロマンの都)」として有名な大連は、コロナ禍以降、昨年と一昨年は夏を前にコロナが発生し寂しい観光シーズンを迎えていましたが、今年は連日多くの観光客で賑わっていました。

8月・中国国内のコロナ拡大

 しかし、8月に入り、観光地として人気のある地域を中心に、各地で感染者が確認されるようになりました。ビーチリゾートで有名な海南省三亜市では、数千人規模の感染が発生し、数万人の観光客が現地で足止めされたとの報道もありました。日本と同様に、観光シーズンの到来・行動規制の緩和により人の移動が活発化し、その結果、各地で感染が広がるというジレンマに中国も陥っています。そして、ダイナミックゼロコロナ政策を推進する中国では、わずかな感染数でも非常に厳しい行動制限がかかり、人々の社会経済活動に大きな影響をもたらします。

大連のロックダウンの概要(8月31日時点)

 大連市でも、8月下旬に入りコロナ感染者が確認されるとともに、連日のPCR検査による感染者の特定と行動規制が始まりました。それまで週1回ペースで実施していた市内全体のPCR検査は、8月25日以降8月31日現在まで、ほぼ毎日実施されています。8月30日時点の感染者数は3名・無症状感染者が100名強と、日本の感覚で言えばたいしたことのない数ですが、市政府の迅速な対応(通知)により、8月30日から9月3日まで、大連の市内中心区(中山区・西岡区・沙河口区・甘井子区・高新区)はロックダウン状態となりました。通知の概要は次のとおりです。

  • 市内中心区の住民は不要不急の外出をせず、原則として1家庭につき1日1人1回までの生活物資購入ための外出が認められる。
  • ライフラインに関わる事業などを除き、企業や団体は最低限の人員を配置する以外は在宅勤務とする。
  • 企業や団体は出勤が必須な人員のリストを作成し、社員は社印を押した出勤証明書を発行してもらうことにより外出が認められる(個人営業などの場合は、所在の社区(最小の行政単位)に外出証明を発行してもらう)。
  • 外出する際は、N95級マスクを着用する。 ・必要でなければ大連市外へ移動せず、特別な理由で必要な場合は登録手続きをするとともに48時間以内のPCR陰性証明書を取得する。
  • バス、地下鉄、モノレール、長距離バス、市内ハイヤーなどの公共交通機関は運航を停止する(タクシーや配車サービスは運行)。
  • 娯楽施設(映画館、スポーツジムなど)や公共施設は一時閉鎖とし、飲食店は店内での 事を停止する。大規模な会議などのイベントは停止する。

現地から見たロックダウンの状況(8月31日の昼時点)

 通知には、「原則として1家庭につき1日1人1回までの生活物資購入ための外出が認められる」とありますが、中山区にある私のアパートでは厳しく管理されておらず、自由に外出ができました(社区によって管理の実態が異なるようです)。8月31日午前の街の様子は、歩行者や自家用車、タクシー・出前の運転手などは多少見かけるものの、閑散とした様子でした。スーパーやコンビニエンスストア、デパート(スーパーのフロアのみ)は通常営業しており、N95マスクをつけて携帯の健康バーコードを見せることで入ることができます。(N95マスクを持っておらず困った方も多かったと思います。)場所によっては野菜などの生鮮食品が売り切れているとのことですが、見る限り、十分な物資が販売されていました。地域によっては、移動式の野菜市場も出ているようです。中国では一般的な外卖(ワイマイ)と呼ばれる飲食店からの出前も注文が可能です。物流面では大きな影響は出ておらず、市内のトラックや港は動いており、ECサイトを通じた商品購入も可能です。 現状はまだ「プチロックダウン」といった印象ですが、上海のロックダウンも、3月末時点では短期間で終わると思っていたものが長期化して大変でしたので、楽観視している人は少なく、長期化に備えた準備や心構えをしているように感じています。
※ 感染者の多い中山区では、8月31日夕方から区全体で静態管理体制になるとの通知がありました。原則アパートの外に出ることはできず、病院の外来受付も停止するなど、より厳しい防疫体制が敷かれています。

日系企業の状況と現地展示会の延期

 日系企業の状況ですが、市内中心区の企業は原則在宅勤務、工場も最低限の人員の出勤となっていますが、金普新区(開発区)などの地域はまだ出勤・工場操業ができています。ただし、市内中心区から他の区への移動が制限されるなどの影響により、職員が出勤できない状況が発生しているほか、今後の感染状況によっては他地域も市内中心区と同様の管理体制になることが危惧されています。

 当事務所では、9月21日から開催される「大連国際工業博覧会」へ、県内企業5社とともに出展を予定していましたが、8月31日に主催者から開催延期の通知が届きました。今回で2回目の延期です。コロナの影響で県内企業の販路開拓活動にブレーキがかかるのが、とても残念です。

他地域の状況・各種イベントの延期

 観光シーズンの影響による感染拡大は、大連だけではありません。前述した海南省三亜市のほか、河北省石家庄市、四川省成都市、広東省深圳市などの大都市でも、大連と同様のロックダウンが行われています。このように、中国各地でコロナの感染拡大と収束は数か月周期で交互に起こっており、各地の展示会やイベントも状況に応じて随時延期・中止となることが多く見られるなど、一進一退の厳しい状況が続いています。

党大会について

 8月30日、中国共産党第20回全国代表大会が10月16日に北京で開催されることが発表されました。現地ではこの大会が中国の新型コロナウイルス政策の方向転換の契機になるのでは、と期待される声が上がっています。

最後に

 中国のコロナ防疫対策は刻々と変化しているため、常に最新の状況は現地に確認することが重要となります。当事務所でも可能な限り現地情報を収集・提供してまいりますので、県内企業の皆さまには、質問等ありましたら随時ご連絡いただければと思います。 以前のように、日中の自由な往来と、ビジネス活動ができる日が来ることを願っています。

(*)ダイナミックゼロコロナ政策
「国内の感染をゼロにする」ものではなく、感染者の能動的かつ迅速な発見を行い、感染者に対して速やかに疫学的調査、診断、隔離、治療を行い、コミュニティで持続的に感染が広がることを防ぐ防疫戦略。最近では、感染者が発見された地域をより限定して封鎖することや、主流となったオミクロン株の特性に合わせた隔離期間の短縮など、経済へのマイナス影響を抑える微調整も行われている。

コロナ発生前の大連市内の商業施設

コロナ発生後の大連市内の商業施設

封鎖管理された地域

携帯電話で確認できるPCR検査受診記録

PCR検査会場の列

夜間でも実施されるPCR検査

デパートのスーパーのフロア

移動式の野菜市場

8月31日夜・閉店前のローソン

大連国際興業博覧会の延期通知

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