KIP国際化支援専門員コラム「ドナルド・トランプ大統領就任1周年で思うこと」
ドナルド・トランプ大統領就任一周年で思うこと
国際化支援専門員コラムはさまざまなテーマで不定期に掲載していきますのでお楽しみください。
今回は国際化支援専門員の山口による「ドナルド・トランプ大統領就任1周年で思うこと」をお届けします。
※本ブログ内容は2026年2月末時点の内容となっております
「ドナルド・トランプ大統領就任一周年で思うこと」
アメリカ、トランプ大統領就任一年で怒涛のごとく彼がいろいろ実施した施策にある背景はどうなっているのか、アメリカという国は僕が携わって理解したことの一つにリーダーの周辺には何人かの優秀なブレーンが必ず存在していること、そうであるならばそのブレーン達が何を考え、大本の運営基盤の共和党が何故自由トレードを辞めて国内回帰を計るのか、今後どうなっていくのか、日本に多大な影響を与えることになると思い、トランプ大統領の有力な政策顧問の一人である保守系シンクタンク、アメリカン・コンパス設立者、オレン・キャスの日本訪日時の講演記録があったので内容を確認してみるといろいろなことがはっきりしてくるのでまとめてみることにした。
前段
- アメリカはGDPも高く、技術進化も起きていた、しかし社会基盤などが衰退傾向にあったそしてそれらはこの20-30年続いていた。
- チャイナ、ショックといわれ2013-14頃、中国経済を分析した結果アメリカ国内から数多くの仕事が中国に移転されアメリカで仕事が失われていた。その時点でも多くの経済学者は全く違っていて、上手く推移していると述べていた。
- 問題は雇用だけでなく、地域のコミュニティーが衰退し(破壊されている)、大企業でさえ衰退していて、防衛産業に至っては速やかに生産(鉄鋼やIC基盤の素材から、造船業・車両などの製品)ができなくなっている点が挙げられる。
- チャイナ、ショックだけでなく、麻薬や自殺も大幅に増えていてさらには、オピロイド危機といわれている合成麻薬中毒死の増加、いかにそれ自体が深刻で重大な問題点か?ソ連崩壊後、アルコール中毒、自殺などが多く、衰退していく社会のイメージが今のアメリカと非常によく似ている。例を言うと1人の麻薬中毒死は周りに10人の中毒患者がいてその一人の中毒患者に麻薬中毒予備軍・生活者が10人はいると統計上言われており、昨年約8万人が麻薬中毒で亡くなっているので、その100倍は少なくてもいる計算になり、アメリカ全土で約800万人の麻薬中毒予備軍が存在すると想定される。トランプ大統領の麻薬対策の本気度が分かる状況だ。
- いろいろな制度が機能しておらず、海岸部の除く多くの州では例えば高校から5人に1人しか大学行けず若い男子は50年前とあまり給料も変わっていない。結婚もできないし子供も持てない。それが何を意味するかというと、“世界に自由社会が広まればアメリカ国民が豊かになり恩恵を受けるはず”、が実際はそうなっていない。ならば自国の利益を最大限にするにはどうするかという考えが共和党に拡大してきている。
アメリカには大きな3つのいら立ちがある
- 自由貿易…ここ50年ほど他の国々は自由貿易の恩恵を得て高い成長率を誇ったが、アメリカは恩恵を受けなかった。最大の享受国は中国であり、そしてアメリカは貿易赤字が拡大した。貿易は素晴らしいが収支均衡でなければ他国のみ利することになる。それによってアメリカの土地や債券で保有することになっている。またグローバルビジネスの拡大は富の極端な偏重を生みわずか数人で(ウォーレン・バフェット氏、ビル・ゲイツ氏、ジェフ・ベゾス氏)アメリカの下位半数の総資産と同じ資産を保持しており、 富裕層のみ膨大な富を得ている。
- 防衛/国家安全保障…アメリカが全世界を守る構造になっていて、世界会議では各国の代表者は景気の良いことを言うが国に帰っても予算も増えず各国がアメリカに頼る構図は変わっていない。アメリカだけが投資してそしてアメリカの若者だけが傷ついたり死んだりしている。GDP比ではなくて自分の国を守っていけるように各国に強く要望していくであろう。アメリカの軍事費は年間約1Tドルに迫り、日本の国家予算よりも多いという事実がある。それに関連する課題として国連や各種の国際機関もアメリカが膨大な資金を出してアメリカ以外の国が利益を享受し国家が豊かになっている(アフリカ・中国・インド・中東等を指すか?)
- 中国問題…これまではアメリカが覇権を握ってきたが、中国は事実としてもう一つの覇権を握っている。アメリカの最大のいら立ちは多くの国にとってアメリカと中国の両方とうまく関係を築きたいと思っているが、アメリカは特に同盟国とは歩調を合わせて中国と対峙して欲しいと思っている。
今後のアメリカの進む道は
共和党保守派がアメリカ再興のため国内強化に取り組むであろう、過去50年間何もしてこなかったと言ってもいいし、トランプは建設的な破壊をしている。地域産業のクリエイトには向いていないかもしれない。そこはJ.D.バンスやルビオが担っていくであろう。
- アメリカの衰退とは地域コミュニティーの衰退である。したがってそれを復活させるためにも製造業の復活が必要で、(1)半導体の生産(2)重要鉱物、(3)船、鉄などの産業、それらの産業の多くは中国・東南アジア・インド等に奪わられておりアメリカの地域でのコミュニティーが衰退している。
- 移民政策…Wall Streetに懐疑性を持っている。株価の上下に一喜一憂すべきでないし、今までは「安い労働力が入ってくるのが良い → 生産性増加 → 収益増 → 株価の上昇 → すべての人の利益を押し上げるから良い」という考えで進めてきたが、実際はそうではなかった(一部富裕層のみ異常なほどの大きな果実を得る)。
- 組合と労働者…昔は敵対関係にあった。今組合の組織率はわずか6%で今後は組合等とコミュニケーションを取っていく方向。
まとめ
アメリカの共和党関連の政策関連ブレーンはトランプの4年だけでなく次の大統領4年×2の 8年の合計12年を狙っているようである、(J.D.バンスやルビオが候補)。そうしないと社会的な改革ができないのであろう。
基本アメリカの方針はトランプがフラッシュアイデアをだして無謀なことを言っているのではなく、戦略ベースで国内産業の復興ということが非常に良く分かるし、共和党自体(各個人では強弱はあるが)がアメリカ再興にかけているようである。各々の施策はバラバラに実行されているかのように見えるが、共和党自体が現在の問題点を認識しグローバルビジネスがもたらした弊害を是正すべくすなわち、“世界に自由社会や平和が広まればアメリカ国民が豊かになり恩恵を受けるはず”は間違いだったとの認識のもと今ある課題に沿って(1)アジア、中国に奪われた製造業のアメリカでの復活(2)特に貿易アンバラス是正のためや国内産業育成のための関税政策(3)アメリカの地域でのコミュニティー復活と麻薬撲滅の為とアメリカ国民の生活向上の為に不法移民の徹底的排斥(4)世界安全保障の為の西側諸国へ自国での軍事予算の大幅拡大要請(特に欧州、日本、韓国等)(5)アメリカにとっては無用と思われるパリ協定やWHOをはじめいろいろな世界機構から脱退と巨額の資金支出の停止等、上記項目がすべて密接に絡み合って動いている。
僕だけの意見かもしれないが長い海外生活で感じた点で、アングロサクソン系(イギリス・ドイツ系人種)リーダーの特徴は、今まで実施した施策は失敗だなと認識し、変革しないと未来はないと思考した時点から、彼らの行動は国内で痛みを伴おうが、相手と大きな摩擦を生もうが全く躊躇(ちゅうちょ)なく次の一手をしかもそれを戦略的で強力に打ってくるのが非常に素早いと感じる。
アメリカ政権の有力ブレーンの一人であるオレン・キャスの講演を聞いてドナルド・トランプ大統領と共和党がまさにアメリカ再興をかけて変革に臨み強力に推進しているので、日本も間違いなく・経済安全保障(貿易面)・国内安全保障(国防)・対中国対応で大きな影響を受けるであろう。戦後80年を経て日本も大きな転換点に立っているとも言えそうだ。
以上
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