サポかな
掲載日:2021年6月 2日
「サポかな」取材名言 菊英 後藤英彦代表~日本で唯一の本ばれん工房(1)
「ばれん」――。失礼ながら、ほとんどの方にとって、子どものころに図工の時間で手にしたのが最初で最後となっているアイテムでは? かくいう私自身、40年ぶりに目にした「ばれん」は、8ヶ月にも渡る繊細な作業工程を経て完成する、本物でした。いつまでも見ていたくなる美しさ、落ち着いた佇まいを宿す「本ばれん」(※)。版画職人「摺師(すりし)」の命ともいわれるばれんを40年以上作り続ける後藤氏の名言をお伝えします。
(取材日:5月28日)―「サポかな」7月号にご期待ください。
多色刷りの「浮世絵」ができたのは、丈夫な和紙と鉋(かんな)の発明、そしてばれんの発展があったから
浮世絵は、描く、彫る、摺る、によって生まれる。何度色を重ねてもよれない和紙に、版木の表面を滑らかに削る鉋、圧力をかけ転写するばれん、これらが揃って大胆かつ繊細な多色刷り表現が可能となった。葛飾北斎や安藤広重といった絵師の名だけが残るが、絵を彫刻刀で版木に彫った彫師、北斎の色を摺り分けた摺師らの技にも驚嘆する…!!
「ばれん」はシンプルな構造ながら江戸職人の知恵がぎっしり詰まっています
楮(こうぞ)の長くて強靱な繊維が絡まり合ってできた和紙の内側に色を浸み込ませる(表面に着色するのではない。)ばれんは、世界で唯一、日本オリジナルの摺り道具だという。ばれん芯の要は、竹皮の綱を縒り合わせることによってできる、無数のこぶ状突起だ。
(明日のスタッフブログに続く)