事業承継に必要な税務の基礎知識について解説します2(第2回 相続税の課税財産)
相続や贈与の理解には税務の知識が必要となりますが、特に相続税に関する重要なポイントのみに絞って7回シリーズで解説します。第2回は、「相続税の課税財産」について解説します。
相続財産の意義
相続の開始があった場合には、相続人は、被相続人の一身に専属したもの(※)を除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。
財産に属する権利には、
- 不動産や動産の所有権や占有権などの物権
- 預金や貸付金、役務の提供などに係る債権
- 著作権や特許権、商標権などの無体財産権
など法律上の根拠を有するもののほか、例えば、営業権のような法律上の根拠を有しないものも含まれ、これらが相続人に承継されます。
(※)一身専属権については、事業承継に必要な法務の基礎知識について解説します(第1回 相続)をご覧ください。
本来の相続財産
本来の相続財産とは
一般には、被相続人に帰属していた財産上の権利義務のうち、相続または遺贈により相続人または受遺者が取得するものが本来の相続財産であり、相続税法では、被相続人に帰属していた財産のうち、金銭に見積もることができる経済的価値のあるもの全ての積極財産(※)が課税の対象となります。
なお、未登記の土地建物等、被相続人名義以外の家族名義・他人名義の預貯金等であっても、実質的に被相続人に帰属するものは相続財産に含まれます。
(※)積極財産については、事業承継に必要な法務の基礎知識について解説します(第1回 相続)をご覧ください。
本来の相続財産の具体例
土地、家屋、借地権、株式、預貯金、現金、貴金属、宝石、書画、骨とう、自動車、電話加入権、立木、金銭債権など。
みなし相続財産
みなし相続財産とは
法律的には被相続人から相続または遺贈により取得したものではないが、実質的には相続または遺贈により取得した財産と同様の経済的効果を持つものがあります。
このような財産を相続または遺贈により取得したものとみなして相続税の課税対象としており、これを「みなし相続財産」と呼んでいます。
主なみなし相続財産
生命保険金等や退職手当金等は、相続または遺贈により取得する財産(本来の相続財産)には該当しません。
しかし、その経済的効果が実質的には相続または遺贈により取得した財産と同様の経済的効果を持つことから、相続税法ではこれらの財産を相続財産とみなして相続税の課税対象としています。
主なみなし相続財産は、次表のとおりです。
(1) | 生命保険金等 |
---|---|
(2) | 退職手当金等 |
(3) | 生命保険契約に関する権利 |
(4) | 定期金に関する権利 |
(5) | 保証期間附定期金に関する権利 |
(6) | 契約に基づかない定期金に関する権利 |
(7) | その他遺贈により取得したものとみなされるもの |
(8) | 相続または遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者の受贈財産 |
(9) | 贈与税の納税猶予の適用を受けていた農地等(贈与者が死亡した場合) |
(10) | 贈与税の納税猶予の適用を受けていた非上場株式等(贈与者が死亡した場合) |
「税務大学校 講本」(国税庁)を加工して作成
次回は、相続税の課税価格と税額の計算について解説します。
このブログ記事の詳細は、専門知識が必要となることも多いため、弁護士、税理士などの外部専門家へご確認されることをお勧めします。
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