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事業承継
掲載日:2023年9月25日

事業承継に必要な法務の基礎知識について解説します(第1回 相続)

相続や贈与の理解には民法の知識が必要となりますが、特に重要なポイントのみに絞って8回シリーズで解説します。第1回は、「相続」について解説します。

相続

「相続」とは、個人が死亡した場合に、その者の有していた財産上の権利義務をその者の配偶者や子など一定の身分関係にある者に承継させる制度のことをいいます。
この場合、財産上の権利義務を承継される者のことを「被相続人」といい、これを承継する者のことを「相続人」といいいます。
したがって、「相続」とは被相続人から相続人に対する財産上の権利義務の承継ということになります。

相続の開始

「相続」は、死亡によって開始します。
被相続人の死亡という事実があれば当然に開始し、被相続人の死亡を相続人が知っていたかどうかを問わず、相続人は被相続人の財産上の権利義務を当然に承継することとなります。この死亡には、自然の死亡だけでなく、「失踪宣告(※)」の制度による擬制死亡も含まれます。
(※)失踪宣告とは、生死不明の者に対して法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度をいいます。

失踪の種類 失踪期間 死亡の時期
普通失踪 不在者の生死が7年間不明であること 7年間が満了した時
危難失踪
(特別失踪)
戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇した者の生死が、その危難が去った後1年間不明であること 危難が去った時

相続の効果

「相続」の開始により、相続人は、相続開始の時から、被相続人の一身に専属したものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。
この場合の「権利」とは一般的に「財産」のことをいい、「義務」とは「債務」と考えられています。
つまり、相続によって被相続人から相続人に承継されるものには、積極的な財産(プラスの財産)のみならず、消極的な財産(マイナスの財産)も含まれますが、「一身に専属したもの(被相続人の一身専属権(※))」は除かれます。

  • 積極的な財産(プラスの財産)・・現金預金、有価証券、不動産、動産など
  • 消極的な財産(マイナスの財産)・・・借入金、ローン債務、未納税金など

(※)一身専属権とは、その権利が専ら特定人の一身に属し、他人が取得したり、他人に移転できないものをいい、例えば、相続による譲渡禁止特約のあるゴルフ会員権、身元保証人の義務、税理士資格、年金受給権などが考えられます。

相続開始の場所

「相続」は、被相続人の住所において開始します。
この被相続人の住所により、相続に関する訴訟、審判事件等の管轄が確定されます。
また、相続税法では相続税の申告書の提出先は、納税地の所轄税務署長とされており、相続人の住所地が北海道や大阪であっても、被相続人の死亡時の住所地が神奈川であれば、相続人全員が神奈川の被相続人のその住所地を所轄する税務署長に相続税の申告書を提出することになります。

税務大学校 講本」(国税庁)を加工して作成

次回は、相続人の範囲と順位について解説します。

このブログ記事の詳細は、専門知識が必要となることも多いため、弁護士、税理士などの外部専門家へご確認されることをお勧めします。

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