【大連緊急レポート】コロナ感染拡大に揺れる中国最大の経済都市、上海の今
3月以降、中国各地でオミクロン株による新型コロナウイルスの感染が拡大しています。4月8日時点で最も深刻なのが中国最大の経済都市である上海市です。3月下旬以降、感染者は日に日に増加し、4月7日には過去最多となる2万人を超える感染者が確認されました。ほとんどは無症状感染者であり症状のある感染者は数百人程度ですが、これまで小規模な感染でも厳しい封鎖管理をすることで感染拡大を防いできた中国において、この感染者数はとてつもないインパクトを与えています。
上海市は3月28日より、黄浦江を挟んで浦東(上海東部)と浦西(上海西部)に分け、2段階での都市封鎖(ロックダウン)を開始しました。当初は浦東と浦西でそれぞれ4~5日ずつの短期間の封鎖を予定していましたが、感染者が引き続き拡大していることから、現在(4月8日時点)は市内全域が無期限の封鎖状態となり、上海市民の方々は政府の指示に基づくPCR検査の受診を除き、原則外出が制限される状態となっています。
ゼロコロナ政策の観点から、中国では軽症者や無症状者も自宅療養が認められていません。感染者の急増により上海市内の医療施設が逼迫していることから、市内の大型展示会会場などに急遽仮設病棟が設置され、感染者の受入れが行われています。
上海で働く日系企業の方に話を伺ったところ、「PCR検査受診を除き、もう10日は自宅を出ていない。自宅のマンションを管理する地域コミュニティのWeChatグループチャットに加わるよう指導されており、このチャットの中でPCR検査受診指示などの連絡が来る。地域コミュニティを通じて食料の購入などはできているが、コミュニティごとで状況が違い、食料に困っている人たちもいるようだ。これだけ感染が広がると自分も感染するのではという恐怖もあるが、感染して環境の悪い隔離施設に連れていかれることが一番怖い。」と話してくれました。
都市封鎖中は工場の操業や店舗での営業販売などが停止し、社員も在宅勤務を余儀なくされるなど、企業活動にも大きな影響が出ています。航空便は欠航や上海以外への到着便となる振替が相次いでおり、高速鉄道、地下鉄なども運航が制限されています。タクシーは運航されていないようです。物流も世界最大のコンテナ取扱量を誇る上海港の稼働率が6割程度まで落込み、運送ドライバーも不足しているため停滞しているほか、DHLなどの宅急便サービスも停止しているとのことです。
上海には中国全土から医療スタッフや検査要員、出前の配達要員らが駆け付け、医療や食料供給の支援に取り組んでいると報道されています。中国全土で協力しあいながらゼロコロナ政策に取組んでいますが、上海に住む人々や企業の現状はかなり深刻なようです。
こうした中、4月7日に在上海日本国総領事館の赤松総領事から「上海在住の日本人の皆様へのメッセージ」が同館のホームページに掲載されました。同館では、様々な情報発信や個別支援、ホットラインの開設など、在留邦人支援のために取り組んでいるとのことです。
https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/20220407b.html
感染の収束が見通せず、上海の人々の心身の負担が積み重なっています。早くこの状況が改善することを心から願います。