インボイス制度導入による取引の見直しについて
インボイス制度の導入がいよいよ来年2023年10月から
適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の導入がいよいよ来年2023(令和5)年10月にスタートします。まだ半年以上も先と思われるかもしれませんが、スタート時にインボイスを導入するには同年3月までの登録申請が必要で、そうなると時間はあまりなくなってきました。
さて、インボイス発行の登録申請ができるのは課税事業者となります。現在、免税事業者の方は登録をするかどうか決める必要がありますが、取引先が課税事業者であるときは対応に悩むのではないでしょうか。
免税事業者のままだとインボイスを発行できないため、取引先は仕入税額控除(売上税額から仕入税額を差し引くこと)ができず、消費税額の負担が増えてしまいます。今後取引先がどのような対応に出てくるのか、心配になるかもしれません。そこで、今回はこの点について考えてみたいと思います。
独占禁止法等において問題となる行為も
取引先からすると、免税事業者に対して、①課税事業者への登録要請、②免税事業者のままで取引条件の見直しといった対応が考えられます。
まず①ですが、要請だけならば取引先の対応は問題がありませんが、仮に応じなかった場合に不利益を与えるような行為があれば、これは独占禁止法(不公正な取引方法の禁止<優越的地位の濫用>)に抵触する恐れが出てきます。
次に②ですが、取引条件の見直し自体は問題になるわけではありませんが、取引条件はあくまでも当事者間同士の自主的な判断に委ねられるもので、もし取引先が優越的地位を濫用し、一方的に不利な取引条件を設定したり、不当に不利益を与えるなどの行為があれば、独占禁止法または下請代金支払遅延等防止法(下請法)に抵触する恐れがあります。
例えば、取引先に成果物を納品後、請求書(インボイス番号の記載なし)を送付し、そこで初めて免税事業者であることが取引先にわかり、これを理由に消費税相当額が支払われなかった場合、この取引が下請法に該当するものであれば、下請法の禁止事項「下請代金の減額」として問題になってきます。
また、取引先の要請を受けて課税事業者に転換し、価格交渉をしたところ、応じてもらえず、一方的に免税事業者であることを前提とした単価に据え置かれたということも、上記同様であれば、下請法の禁止事項「買いたたき」に該当する恐れが出てきます。
さらに、取引の種類に関わらず、取引先から課税事業者への転換を求められた、課税事業者にならなければ今後は消費税額を差し引く、承諾のない場合は今後の取引を控えるといった内容の通告を受けたりすると、これらは独占禁止法の優越的地位の濫用と考えられるものとなります。
これらのような違反事例以外にも免税事業者の取引等については様々なケースが見込まれます。より詳細な情報は下記のサイトも参考ください。また、取引に関する相談については、「下請けかけこみ寺」でもお受けしています。お気軽に問い合わせください。
・インボイス制度後の免税事業者との取引等に関するQ&A
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/invoice/qa.html
・下請かけこみ寺 TEL:0120-418-618