事業承継に必要な税務の基礎知識について解説します2(第5回 相続税額の計算のしくみ )

相続や贈与の理解には税務の知識が必要となりますが、特に相続税に関する重要なポイントのみに絞って7回シリーズで解説します。第5回は、「相続税額の計算のしくみ」について解説します。
相続税とは
相続税は、死亡した人(被相続人)の財産を相続または遺贈により取得した配偶者や子など(相続人等)に対して、その取得した財産の価額を基に課される租税です。
相続税の計算
相続税額の算出過程には、相続または遺贈により財産を取得した者が納付する相続税額を計算するため、次のように四つの段階の計算が必要です。
第1段階(課税価格の計算)
相続または遺贈により財産を取得した者に係る課税価格(各人の課税価格)を個々に計算し、その後、同一の被相続人から相続または遺贈により財産を取得した全ての者の相続税の課税価格の合計額を計算します。
(1)本来の相続財産+みなし相続財産ー非課税財産+相続開始前3年以内の暦年課税に係る贈与財産+相続時精算課税の適用を受ける財産ー葬式費用ー債務=各人の課税価格 (2)各人の課税価格の合計額=課税価格の合計額 |
第2段階 (相続税の総額の計算)
課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した残額(課税遺産総額)を基に相続税の総額を計算します。
(3)課税価格の合計額ー基礎控除額(※)=課税される遺産の総額 (4)課税される遺産の総額×法定相続分×税率ー控除額=各人の法定相続分に応ずる税額 (5)各人の法定相続分に応ずる税額の合計額=相続税の総額 |
(※)基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
第3段階 (各人の算出税額の計算)
相続税の総額を各人が取得した財産の額(割合)に応じ配分し、各人の算出税額を計算します。
(6)相続税の総額×各人の相続した課税価格/課税価格の合計=各人の算出税額 |
第4段階 (各人の納付税額の計算)
各人の算出税額から各人に応じた各種の税額控除額を控除し、各人の納付すべき税額を計算します。
(7)各人の算出税額+相続税額の2割加算(※1)-各種税額控除(※2)=各人の納付税額 |
(※1)相続税額の2割加算とは、被相続人の父母・子および配偶者以外の人が財産を相続した場合、その財産の取得は偶然性が高く、担税力が高いことから、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する額が加算されるものです。
(※2)各種税額控除には、贈与税額控除、配偶者に対する税額減税、未成年者控除、障がい者控除などがあります。
「税務大学校 講本」(国税庁)を加工して作成
次回は、相続税の申告について解説します。
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