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事業承継
掲載日:2023年12月25日

遺留分に関する民法の特例について解説します

「遺留分」については、事業承継に必要な法務の基礎知識について解説します(第7回 遺留分)で解説いたしましたが、再確認してみましょう。

原則として、自分の財産はどのように処分するのも自由ですが、民法では、遺族の生活の安定や最低限度の相続人間の平等を確保するために、相続人(兄弟姉妹及びその子を除く。) に最低限の相続の権利を保障しています。これが「遺留分」です。

遺留分に関する民法の特例

事業承継を円滑に行うためには、後継者に自社株式・事業用資産を集中させて承継させることが必要です。
先代経営者(例えば父) が、生前贈与や遺言によって後継者(例えば長男) に自社株式・事業用資産を集中させ、会社や個人事業の経営を承継させようとしても、うまくいかない場合があります。
それは、相続人には原則として「遺留分」があるからです。

推定相続人が複数いる場合、遺留分を侵害された相続人から遺留分侵害額に相当する金額の支払いを求められた結果、自社株式や事業用資産を処分せざるを得なくなりそれらが分散してしまうなど、事業承継にとっては大きなマイナスとなる場合があります。

このような遺留分の問題に対処するため、経営承継円滑化法は、「遺留分に関する民法の特例」(以下「民法特例」といいます)を規定しています。

民法の特例を活用することにより、自社株式や事業用資産が遺留分により分散してしまうことを防止することができます。

会社または個人事業の経営を承継する際、この民法特例を活用すると、後継者を含めた先代経営者の推定相続人全員の合意の上で、先代経営者から後継者に贈与等された自社株式・事業用資産の価額について、

①遺留分を算定するための財産の価額から除外(除外合意)、または
②遺留分を算定するための財産の価額に算入する価額を合意時の時価に固定(固定合意)(※)をすることができます(両方を組み合わせることも可能です)。

(※)固定合意は、会社の自社株式の場合のみ利用可能です。なお、固定する合意時の時価は、合意の時における相当な価額であるとの税理士、 公認会計士、弁護士等による証明が必要となります。

(1)除外合意

後継者が先代経営者から贈与等によって取得した自社株式・事業用資産の価額について、他の相続人は遺留分の主張ができなくなるので、相続紛争のリスクを抑えつつ、後継者に対して集中的に株式を承継させることができます。

(2)固定合意

自社株式の価額が上昇しても遺留分の額に影響しないことから、後継者の経営努力により株式価値が増加しても、相続時に想定外の遺留分の主張を受けることがなくなります。※会社のみ利用可能です。

(3)民法特例を利用するための要件

民法特例を利用するには、会社の経営の承継の場合と個人事業の経営の承継の場合の別に応じて、以下のそれぞれの要件を満たした上で、「推定相続人全員及び後継者の合意」を得て、「経済産業大臣の確認」及び「家庭裁判所の許可」を受けることが必要です。

会社の経営の承継の場合
(1)会社
  • 中小企業者であること。
  • 合意時点において3年以上継続して事業を行っている非上場企業であること。
(2)先代経営者(旧代表者)
  • 過去または合意時点において会社の代表者であること。
(3)後継者(会社事業後継者)
  • 合意時点において会社の代表者であること。
  • 先代経営者からの贈与等により株式を取得したことにより、会社の議決権の過半数を保有していること。 ※推定相続人以外の方も対象となります。
個人事業の経営の承継の場合
(1)先代経営者(旧個人事業者)
  • 合意時点において3年以上継続して事業を行っている個人事業者であること。
  • 後継者に事業の用に供している事業用の全てを贈与したこと。
(2)後継者(個人事業後継者)
  • 中小企業者であること。
  • 合意時点において個人事業者であること。
  • 先代経営者からの贈与等により「事業用資産」を取得したこと。

(出典)中小企業庁:事業承継と民法<遺留分>

このブログ記事の詳細は、専門知識が必要となることも多いため、弁護士、税理士などの外部専門家へご確認されることをお勧めします。

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