事業承継に必要な税務の基礎知識について解説します(第2回 贈与税の課税財産 )

相続や贈与の理解には税務の知識が必要となりますが、特に贈与税に関する重要なポイントのみに絞って5回シリーズで解説します。第2回は、「贈与税の課税財産」について解説します。
本来の贈与財産
本来の贈与財産
贈与契約によって取得した財産を、一般に「本来の贈与財産」といいます。
この場合の財産とは、金銭で見積もることができる経済的価値のある全てのものをいい、(1)土地、立木、現金の所有権などの物権、(2)貸付金、売掛金などの債権、(3)著作権、商標権などの無体財産権のほか、(4)信託受益権など法律の根拠を有する権利および(5)営業権のような法律の根拠を有しないものであっても経済的価値の認められるものも含まれます。
みなし贈与財産
法律的には贈与により取得したものではない財産であっても、実質的には贈与により取得した場合と同様の経済的効果を持つ次の財産については、課税の公平を図る観点から、相続税法上贈与により取得したものとみなして贈与税の課税対象としています。
みなし贈与財産には、次のようなものがあります。
みなし贈与財産 | 説明 | |
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(1) | 生命保険金等 | 生命保険契約や損害保険契約の保険事故の発生により保険金を取得した者が、その保険料の全部または一部を負担していない場合には、その保険事故の発生した時に、その保険金を、保険料を負担した者から贈与により取得したものとみなされます |
(2) | 定期金に関する権利 | 掛金を負担しないで定期金を受け取る場合、その定期金を受け取る者は、掛金を負担した者から定期金の給付を受ける権利を贈与されたものとみなされます |
(3) | 財産の低額譲受による利益 | 著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合には、その財産の時価(課税評価額)と支払った対価の額との差額に相当する金額を、財産を譲渡した者から贈与により取得したものとみなされます |
(4) | 債務免除等による利益 | 対価を支払わないでまたは著しく低い価額の対価で債務の免除、引受けまたは第三者のためにする債務の弁済による利益を受けた場合には、その債務の免除、引受けまたは弁済があった時に、その債務の免除、引受けまたは弁済に係る債務の金額に相当する金額をその債務の免除、引受けまたは弁済をした者から贈与により取得したものとみなされます |
(5) | その他の利益の享受 | 対価を支払わないでまたは著しく低い価額の対価で利益を受ける場合には、その利益を受けた者が、その時に、その利益の価額に相当する金額を、その利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなされます |
(6) | 信託に関する権利 | 信託の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずに信託の受益者等となるときなどには、信託に関する権利を贈与によって取得したものとみなされます |
(7) | 特別の法人(持分の定めのない法人)から受ける特別の利益 | 特定の贈与を原因として持分の定めのない法人から特別の利益を得ている者は、財産を贈与した者から贈与により取得したものとみなされます |
非課税財産の範囲と内容
贈与税についても相続税の場合と同様に公益性や社会政策的見地あるいは国民感情の面から、贈与税の課税対象から除外することが相当と認められる財産については、贈与税の課税価格に算入されません。
説明 | |
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(1) | 法人からの贈与(ただし、所得税(一時所得)が課税されます。) |
(2) | 扶養義務者相互間の通常必要と認められる生活費または教育費 |
(3) | 公益事業を行う者がその事業の用に供するため取得した財産 |
(4) | 特定公益信託で財務大臣の指定するものから交付される特定の金品 |
(5) | 地方公共団体の条例による心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利 |
(6) | 公職選挙法の適用を受ける公職の候補者が選挙運動に関し贈与を受けた金品で、同法の規定により報告がされたもの |
(7) | 特別障害者が特別障害者扶養信託契約に基づいて受ける信託受益権 |
(8) | 相続または遺贈により財産を取得した者が相続開始の年に取得した被相続人からの贈与財産(ただし、相続税の課税価格に算入します。) |
(9) | 直系尊属からの教育資金の贈与のうち一定の金額 |
(10) | 直系尊属からの結婚・子育て資金の贈与のうち一定の金額 |
(11) | 直系尊属からの結婚・子育て資金の贈与のうち一定の金額 |
(12) | 社交上の香典や贈答品などで社会通念上相当と認められるもの |
「税務大学校 講本」(国税庁)を加工して作成
次回は、贈与税の課税価格と税額の計算について解説します。
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