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事業承継
掲載日:2023年10月10日

事業承継に必要な法務の基礎知識について解説します(第3回 相続分)

相続や贈与の理解には民法の知識が必要となりますが、特に重要なポイントのみに絞って8回シリーズで解説します。第3回は、「相続分」について解説します。

相続分とは

相続分とは、相続人ごとの財産を承継する割合のことを指します。
相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属し、各相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継するとされています。
また、相続財産は、相続人間の遺産分割協議等によって分割され、共同相続人は、分割されるまでは、その共有に属する相続財産に対してそれぞれの相続分に応じた持分を有していることになります。
相続分には、民法の規定によって定められている「法定相続分」、被相続人が遺言で共同相続人の相続分を自由に定めることができる「指定相続分」があり、相続分の指定がある場合には、遺留分(※)の規定に違反しない限り、その指定が優先されます。
これらの他、民法では、特別受益がある場合と寄与分がある場合の調整について規定が設けられています。

(※)遺留分とは、相続財産の一定割合を一定の範囲の相続人に留保するという制度のことをいいます。

(1)法定相続分

法定相続分は、被相続人が遺言で相続分を指定していない場合に、遺産分配の基準となるものです。
法定相続分は、共同相続する相続人の身分によって異なり、民法では次のとおり定められています。

相続人 相続人 留意事項
子と配偶者 子 2分の1
配偶者 2分の1
子が数人あるときは、子の法定相続分を均分する。
直系尊属と配偶者 直系尊属3分の1
配偶者 3分の2
同じ親等の直系尊属が数人あるときは、直系尊属の法定相続分を均分する。
兄弟姉妹と配偶者 兄弟姉妹4分の1
配偶者 4分の3
兄弟姉妹が数人あるときは、兄弟姉妹の法定相続分を均分する。
ただし、父母の一方を同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の相続分の2分の1とする。

(2)代襲相続分

代襲相続人の相続分は、相続人となるべきであった者(被代襲者)の相続分をそのまま受け継ぎます。
同一の被代襲者について複数の代襲相続人がいる場合には、それぞれの相続分は被代襲者の相続分を均分します。

(3)指定相続分

相続人が複数いる場合、被相続人は遺言で相続人の一部または全部について、相続分を指定することができます。
また、指定相続分は、法定相続分に優先して適用されます。

(4) その他

  1. 特別受益者の相続分
    特別受益の制度は、相続人間の公平を図ることを目的とする制度です。
    共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者(特別受益者)があるときは、これらの遺贈、贈与を考慮して相続分を修正するものです。
  2. 寄与分
    寄与分の制度も、特別受益の制度と同様に、相続人間の公平を図ることを目的とする制度です。
    共同相続人中に、被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者があるときは、その者の寄与分を考慮して相続分を修正するものです。
    この特別の寄与とは、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加に係る特別の寄与をいいます。
    なお、寄与分は、原則として共同相続人の協議によって定められます。
  3. 特別寄与料
    被相続人に対し、無償で療養看護その他の労務を提供したことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした親族(相続人など一定の者を除く。以下「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができます。

「税大講本」国税庁 (nta.go.jp)を加工して作成

次回(第4回)は、「遺産の分割」について解説します。

このブログ記事の詳細は、専門知識が必要となることも多いため、弁護士、税理士などの外部専門家へご確認されることをお勧めします。

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