「サポかな」取材名言~栄和産業 伊藤正貴氏「先に大人になった者の責任」コロナ離職の若者18人雇用(3)
4年前に名刺事業をスタートさせたのは、重度知的障害のある従業員に、長所を生かして最低賃金を自分で稼ぎ出せるよう育ってほしかったから。
もともとは、事務補助の求人に、「手が痛くなるまでホッチキス止めの練習をして面接に来た」当時22歳の男性。教えればテプラも使いこなし、パソコンも上達していった。障害者雇用の助成金が2年で切れるとき、「支えられる側から支える側になってほしい」と名刺事業を新設。商談会で結びついた東京工芸大学とデザイン連携し、オリジナリティ溢れる名刺の製作が可能となった。
現場の「プチ改善」では「なんとなく早く終わったね」ではなく、データを取って現場で数字を共有している。成果が上がればボーナスを上げる。
社員たちのエンゲージメントは、工夫や努力をした分、収入が上がる仕組みとセットだと伊藤社長。ボーナスで格差を付けるが、社員全員が年に1回提出する「社長への手紙」では、仕事のやりがいや目標、また人間関係やお金の心配事など様々に綴られる。一人一人が安心して働けるよう「社員もまた増えたし、ほとんど一日中、考えっぱなしかな」と笑顔を見せる。
(コロナを経て)業種にもよるが、吹き始めた景気の上昇気流に乗り遅れている、どうも浮かんでこない企業というのは、生産性が上がっていないことが原因かもしれない。コミュニケーションがないと、生産性は上がりませんからね。
昨年4月に1つ目の底、8月にはもっと深い底を経験したという伊藤社長。金融危機のリーマンショックとは違い、経済活動は止めないwithコロナの中、生産性向上の工夫をどれだけしてきたかで差が出ていると見る。
建設機器やトラックなどの大物鈑金を手掛ける栄和産業では、受注キャンセルが相次いだ時期に、現場社員のジョブローテーションを果敢に行い多能工化を進めた。(利益率が高い)試作を、設計図の読み取りから完成まで1人で行える社員が増え、分業では完全には防ぎきれない「伝言のズレ」がなくなったという。
各工程を短期間で学び合えたのは、当社がこれまで社員のコミュニケーションに注いできた熱量(心・時間・資金)の蓄積があってこそ。
取材中、「先に大人になった者の責任」「社員の家族に心配させちゃいけないから」という言葉がたびたび聞かれた。
栄和産業のキーワードは、この他にも 〇野球部 〇(地域に開放)日本語教室 〇(社員みんな大好き)バーベキュー など枚挙にいとまがないが、[ダイバーシティ経営]を半世紀にも渡り実行してきた当社の説得力は、ハンパなかったです!!
株式会社 栄和産業
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