取組事例
製品ごとのCO2排出量を算定 環境対応を新たな競争力へ
【事業者情報】
- 企業名:株式会社サイマコーポレーション
- 所在地:神奈川県藤沢市辻堂2-9-17
- 事業内容:ねじの企画設計・製造卸
- 創立:1952年
- 企業HP:https://www.saima.co.jp/
株式会社サイマコーポレーションは、ねじの企画設計・製造卸を手掛け、「メーカーのような立ち回りができる商社」として顧客の技術相談にも対応しています。
欧州で環境規制への対応が進む中、同社では将来の取引を見据え、主力オリジナル製品について製品ごとのCO2排出量を算定しました。今回、その取り組みについて、国際部の加瀬様と濱口様にお話を伺いました。
CO2排出量の算定に取り組んだきっかけは何ですか?
欧州の環境規制の動きがきっかけです。海外の情報を扱う国際部がこうした動きを早い段階から把握していました。ねじについても、CBAM※と呼ばれるEUの制度により、対象製品をEUへ輸出する際にCO2排出量に関する情報が求められることを知りました。
欧州の環境規制の流れは今後も続くと考え、「環境対応はビジネスを行う上で必要不可欠」と判断し、業界に先駆けて取り組むことにしました。
※CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism:炭素国境調整メカニズム):EU域外から輸入される鉄鋼、アルミニウムなどの対象製品について、製造時の温室効果ガス排出量に応じた費用負担を求めるEUの制度。CO2排出量の多い製品ほど、EUへの輸入時のコストが大きくなる仕組みです。2026年1月から本格運用が始まっています。
どのようにCO2排出量を算定したのでしょうか?
メインバンクの横浜銀行に相談し、浜銀総合研究所を通じてカーボンフリーコンサルティング株式会社の支援を受けました。
2025年11月から2026年5月まで約半年をかけ、オリジナル製品について一つひとつCO2排出量を算定しました。算定には、製品の重量、使用素材、工場から納入先までの移動距離など、実際のデータを使用しています。
算定してみると、使用する素材によって排出量に違いがあることが分かりました。例えば、アルミニウムを使用したねじでは、比較的CO2排出量が多くなることも分かりました。
算定作業は大きな負担になりませんでしたか?
初めての取り組みだったため不安はありましたが、算定に必要な情報の多くは、重量や素材など、もともと社内にあるデータでした。
不足している情報を追加で収集することもありましたが、通常業務と並行しても、想定していたほど大きな負担にはなりませんでした。
外部の専門家の支援を受けながら進めたことも、スムーズに算定できた要因だと思います。
取り組んだことで、どのような反応がありましたか?
同業者からは、「なぜそこまで取り組むのか」と声を掛けられることが増えました。CBAMへの認知がまだ十分でないことや、対応の手間を懸念する声もあるようです。
また、製品ごとの算定結果はホームページで公開しており、取引の有無にかかわらず誰でもダウンロードできます。ダウンロード数も増えており、環境対応に対する関心の高さを感じています。
現時点では、CO2排出量を算定したことがすぐに売上につながるわけではありません。しかし、今後CBAMをはじめとする環境規制への対応がさらに求められるようになれば、製品ごとの排出量を把握していることは欧州向け取引での強みになります。
国内でも「環境対応に強いねじ」を扱う企業として認知してもらい、新たな取引機会につなげていきたいと考えています。

これから取り組む企業へメッセージをお願いします。
欧州をはじめとした環境規制の流れは止まらないと思います。対応を後回しにすると、取引先から突然情報提供を求められた際に対応できず、販売機会を逃す可能性があります。
まずは、自社の製品や使用している素材を確認することが大切です。併せて、算定に必要となる情報をどの程度社内で保有しているのかを確認することから始めてみるとよいと思います。
CO2排出量を把握することは、環境規制への対応だけが目的ではありません。自社製品や今後のビジネスを改めて見直す良い機会にもなります。