カーボンニュートラルに取り組む必要性
カーボンニュートラルとは
排出される温室効果ガスの量を削減・吸収することで、実質的に排出量をゼロにする取り組みのことを指します。
社会的背景
気候変動に立ち向かうための世界的な取り組み
昨今、異常気象などの気候変動問題が顕在化してきました。
気候変動問題の主な原因となる温室効果ガスの排出を減らしていくことが地球規模での課題となっています。
この問題に対処するため、2015年にはパリ協定が採択され、平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃に抑えることが世界的な長期目標として掲げられました。
この実現に向けて、120以上の国と地域が2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げ、行動計画を策定しています。
2050年カーボンニュートラル達成に向けた日本の企業の取組
日本でも2020年に政府が「2050年カーボンニュートラル」の宣言を行い、各企業や地域社会がそれに応じた取組を進めています。
企業においては、カーボンニュートラル達成に向けて具体的な目標を設定し始めています。特にグローバルに活躍している企業では、機関投資家からの圧力や消費者からの期待もあり、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出削減を進めています。
【サプライチェーン全体でみたCO2排出元のカテゴリ】
下図をご覧ください。カーボンニュートラルに取り組む取引先が、図でいう【自社(Scope1・2)】だとしたら皆さんの立ち位置はどのカテゴリに当てはまりますか。
取引先から見て、Scope3に当てはまる事業者も削減対象になります。つまり、皆さんもカーボンニュートラルの当事者になる可能性があるのです。
定点的な調査によると、2020年から2022年の間で、取引先からの協力要請が7.7%から15.4%に増加していることも分かっています。
カーボンニュートラル達成に向けた中小企業の挑戦
このような背景から、中小企業の経営戦略としてもカーボンニュートラル達成の重要性が高まってきています。
取り組むメリット
1案件獲得につながる
国際的な規制強化を背景にCO2の排出量の報告や削減計画の策定を行っている企業にとって、取引先の選定においてもカーボンニュートラルへの取り組みが評価項目の一つとなっています。カーボンニュートラルへの取り組みにより他社との差別化が図れ、問い合わせの増加や案件の獲得が期待できます。
2エネルギーコストの大幅削減
カーボンニュートラルへの取り組みによりエネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの導入が進みます。これにより、光熱費や燃料費が大幅に削減され、企業の経費削減と経営の健全化が図れます。
3資金調達への優遇
脱炭素への取り組みは企業の長期的な期待値を示す指標とされはじめています。これにより、低金利での融資など資金調達の幅が広がり経営の安定に寄与します。
4優秀な人材を引き寄せる
近年、若い層を中心として環境を含めサステナビリティを重視する人材が増えつつあり、カーボンニュートラルへ取り組む企業はそういった人材に魅力的に映ります。これにより、優秀な人材の確保に期待ができます。