経営相談
掲載日:2024年3月18日
経営総合相談窓口の現場から~「返品の禁止」

経営総合相談窓口の現場から
今回は、「返品の禁止」についての事例を掲載いたします。
相談事例:返品の禁止
製品の部品を製造しているA社(資本金8000万円)は、メーカーのB社(資本金50億円)から部品加工を受託しています。
A社がB社に納品している部品は、B社が全数受入れ検査を実施しているものと、検査を省略しているものと2種類があります。
B社は、受入検査では発見できなかった部品の瑕疵について、納品から1年を経過しても返品してきます。また、受入検査を省略しているものについても、同様に返品してきます。このような返品が許されるのか疑問に思い、下請かけこみ寺に相談することにしました。
回答
A社とB社の取引は、B社がA社に製造委託しており、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の資本金区分(親事業者 資本金3億円超、下請事業者 資本金3億円以下)にも該当することから下請法が適用される取引と考えられます。
B社の返品の行為が、下請法第4条第1項第4号の「返品の禁止」に該当するかが問題になります。返品することのできる期間は、直ちに発見できる瑕疵の場合は、発見次第速やかに返品する必要があります。
また、直ちに発見できない瑕疵については、その瑕疵が下請事業者に責任がある場合は、受領後6ヶ月以内であれば返品することができます。
ただし、一般消費者に対して品質保証期間を定めている場合は、その保証期間に応じて最長1年以内の返品が許されます。
受入検査を省略した部品については、受入検査を放棄したとみなされ、返品は許されません。このため、受入検査を省略した部品については、いかなる返品も許されないことになります。受入検査について、下請事業者に文書で委任せず、口頭で委任したにすぎない場合も、返品が許されないことに注意が必要です。