1. トップ
  2. スタッフブログ
  3. 経営総合相談窓口の現場から~「購入強制・優越的な地位の濫用」

スタッフブログ

経営相談
掲載日:2023年8月14日

経営総合相談窓口の現場から~「購入強制・優越的な地位の濫用」

経営総合相談窓口の現場から~「購入強制・優越的な地位の濫用」

今回は、「購入強制・優越的な地位の濫用」の事例について掲載いたします。

相談事例:購入強制・優越的な地位の濫用

広告代理店を営むA社(資本金3,000万円)は、広告主B社(資本金1億円)が広告物作成の発注の際に、広告主の製品の購入を暗に断れないように要求してくるのですが、これは下請代金法違反の問題にならないのでしょうか。また、B社は、A社に対し、A社が普段、再委託を行っているC社にもB社の製品を購入させるよう圧力をかけてくるので困っており、下請かけこみ寺に相談することにしました。

回答

A社の資本金は3,000万円、B社の資本金は1億円なので、本取引は下請代金支払遅延等防止法(下請法)の情報成果物作成委託の資本金区分(親事業者 資本金5千万円超、下請事業者 資本金5千万円以下(個人を含む))には該当しますが、広告主B社にとって、広告物は無料で配布するものなので、自家使用となり、広告主自身が繰り返して広告物の作成を行っていなければ、下請法の情報成果物作成委託には該当しません。

しかし、下請法が適用されない場合でも、B社がA社に対し、取引上優越した地位にある場合、B社の製品を購入しないと発注に影響するようなことを暗にほのめかして、事実上商品の購入を強制することは、独禁法第19条で禁止する不公正な取引方法のうち「優越的な地位による濫用」行為として問題となる可能性があります。

次に、A社がC社(資本金1千万円)にB社の発注を再委託する場合、情報成果物作成委託の資本金区分(親事業者 資本金1千万円超5千万円以下、下請事業者 資本金1千万円以下(個人を含む))に該当するため、下請法の適用となる取引になります。
B社の圧力に負けて、C社にB社の製品を購入するようA社が強制すると、下請法第4条第1項第6号の「購入・利用強制の禁止」に該当する恐れがありますので十分注意する必要があります。

B社には、製品を強制購入させる行為は独禁法の「優越的な地位による濫用」にB社が該当する恐れがあるので、購入することは難しいと伝えてみてはどうかとアドバイスしました。

情報をシェア
  1. 前の記事
  2. 一覧へ戻る
  3. 次の記事