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スタッフブログ

企業再生
掲載日:2025年9月 1日

小規模な事業者の特例を活用し、再生に取り組んだ事例をご紹介します

神奈川県中小企業活性化協議会は、借入金返済などの課題を抱える中小企業の経営再建に向けた取組みを支援する、国が設置した公正中立な機関です。

このたび、当協議会がこれまでに行った支援の一例として、小規模な事業者(※)が「再生計画」を策定し、再建に向けて新たな一歩を踏み出した事例をご紹介します(事例はフィクションです)。

本事例が、経営にお悩みの皆さまにとって、当協議会を気軽にご利用いただくきっかけとなれば幸いです。

(※)『小規模な事業者』とは、中小企業基本法第2条第5項に定義される「小規模企業者」のみならず、「売上1億円未満かつ有利子負債1億円未満」に該当する事業者がこれに該当します。

中小企業基本法 第2条(中小企業者の範囲及び用語の定義)
5 この法律において「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員の数が二十人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、五人)以下の事業者をいう。

小規模な事業者の特例を活用し、再生に取り組んだ事例のご紹介(フィクション)

企業概要と直面していた課題

株式会社馬車道ポンプ製作所は、産業用ポンプの設計・製造を主力とする小規模な事業者で、資本金は1,200万円、従業員は13名。小規模ながらも高い技術力を有していました。

しかし、2023年8月期の決算では以下のような厳しい財務状況に陥っていました。

  • 売上高:2億3,500万円
  • 経常損失:▲800万円
  • 借入金残高:2億8,500万円
  • 自己資本:▲9,500万円(債務超過)

背景には、特定の大口取引先への依存がありました。コロナ禍によりその取引先の設備投資が大幅に縮小したことで売上が急減し、資金繰りが一気に悪化したのです。

小規模な事業者の特例を活用した再生計画

同社は、中小企業基本法第2条に定義する従業員数20名以下の製造業であることから、「小規模な事業者の特例」の適用対象となりました。

この特例は、中小企業活性化協議会が支援する再生計画のうち、債権放棄を伴わず、リスケジュール(返済条件の見直し)を中心とした計画に対して適用されるものです。

再生計画策定に際しては、以下の「小規模な事業者」の要件を満たしていることが重要なポイントとなりました。

中小企業
  • 実質的に債務超過である場合は、再生計画成立後最初に到来する事業年度開始の日から5年以内を目処に実質的な債務超過を解消する。
  • 経常利益が赤字である場合は、再生計画成立後最初に到来する事業年度開始の日から概ね3年以内を目処に黒字に転換する。
  • 再生計画の終了年度(原則として実質的な債務超過を解消する年度)における有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下となる。
小規模な事業者
  • 再生計画成立後2事業年度目(再生計画成立年度を含まない。)から、3事業年度継続して営業キャッシュフローがプラスになること。
  • 相談企業が事業継続を行うことが、相談企業の経営者等の生活の確保において有益なものであること。

再生計画の主な内容と今後の見通し

策定された再生計画の主な内容と効果は以下のとおりです。

計画

  • 計画成立2年目以降、3年連続で営業キャッシュフローがプラスとなる。
  • 借入金については、元本返済の猶予(リスケ)で対応し、営業キャッシュフローの約7割を返済に充当
  • 実態純資産(※)のマイナス(債務超過)は計画10年目に解消見込み

効果

  • メインバンクは今後の業績改善を見ながら、信用格付の見直しを検討中
  • 経営者は、今後もこの事業による収入で生活を維持できる見込み

(※)企業が実際に保有していると見なされる純資産のことを指します。帳簿上の数字(簿価)をベースに、資産や負債の時価評価を反映させて修正した純資産の額です。

統括責任者からのひとこと

この事例は、「小規模であっても再生の道は必ずある」ということを示す好例です。

中小企業活性化協議会では、小規模な事業者に対しても、経営計画の策定支援から関係機関との調整、そして計画の実行支援まで、一貫して伴走しています。

  • 安定的な営業キャッシュフローの確保
  • 持続的な黒字体質への転換
  • 金融機関からの信用回復

こうした目標の実現に向け、第一歩を踏み出すお手伝いをします。
経営への不安や資金繰りのお悩みをお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
私たちが全力でサポートします。

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