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掲載日:2022年9月 9日

【連載】加工食品の海外輸出の専門員が語る成功例、失敗例 ーvol.2:冷凍ショウガぺースト輸出時、小口の冷凍物流ルートの困難さに直面ー

「加工食品の海外輸出の専門員が語る成功例、失敗例」と題し、全3回のシリーズでお送りいたします。
今回は第2弾です!お楽しみください。

vol.2:冷凍ショウガぺースト輸出時、小口の冷凍物流ルートの困難さに直面

国際課の支援専門員・小杉です。
前回から数回シリーズにて、過去の輸出の成功例や失敗例をなるべく具体的にお話しています。
今回は非常に時間がかかった食品原料の商談例から。(コロナ禍の以前の2019年当時の話です)

地方のしょうが加工業者様の輸出を支援した際のお話です。
このA社、国内では生のショウガ、冷凍加工のショウガなどでトップクラスのシェア。
A社の顧客メーカーがラーメンスープや中華加工品の原料として海外進出し現地で工場を建て始めているところに目をつけて、日本で付き合いのあるユーザーや現地の加工メーカーへショウガ加工品を輸出することを考えました。

商品は保存がきき、風味が残って品質が高く、かつ加工しやすい「冷凍ショウガペースト」です。まずは日本で付き合いのあるその国の日系企業様に現物を持って行って商談しました。
でも意外なことに「日本の本社は本社、こちら現地では独自の現地系の価格の安い業者から中国製などのショウガ加工品を仕入れている。」との冷たい反応。
次は日系の冷凍食品メーカーへ商談。そこでも「現地は現地仕入れ」とのこと。
それでも「そうですか!!」と尻尾を巻いて日本に帰るわけにはいかないので
日系の食品輸入商社(問屋)を訪問して、ショウガ加工品の市況をヒアリングして
また現地の加工製品を現地のスーパーで購入したりして市場調査もしました。

またさらに問題だったのは冷凍品の物流です。
常温品なら「混載コンテナ」も組みやすいのですが、輸出する国やエリアによっては
「冷凍混載(小口)コンテナ」の扱いががほとんどないことがわかりました。
もちろん、このA社の商品だけで冷凍(リーファー)コンテナ1本を組めれば問題ないのですが
最初からそんなに大量に注文が見込めるわけではなく、困りました。
日本から日系商社が輸出して、現地でまた日系商社が輸入して現地で配送するなど
いわゆる間接貿易をして冷凍コンテナで流通させればいいとお考えになるかもしれませんが、
加工用業務用原料の冷凍品ですから、貿易商社にマージンを払って商売できる利益体系になっていない問題もありました。

最終的には現地の最終ユーザーが求めている品質を調査し、それに合う品質のショウガは
A社の日本製しかないことを数回の海外出張を経て、丹念に商談を重ね、納得していただき受注をしました。
あとは冷凍の小口の配送問題です。
このA社の現地の別の顧客がたまたま「冷凍魚」を日本から輸出するコンテナを持っていたことがわかり、そのコンテナの片隅に乗せていただき配送できたのでした。

今、海外で大人気の日本の(レストランで食べる)ラーメンですが裏ではこういった苦労が隠れています。
今回の教訓。
①物流は日本のように簡単には冷凍品の小口配送はできにくい。
(米国やオーストラリアのような大きな国では国内でも難しい)
②日本の品質が海外で必ずしも求められているとは限らない。

~お気軽にご相談ください~

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海外駐在や貿易実務など、海外ビジネス経験豊富な企業OBを国際化支援専門員として配置しており、
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