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掲載日:2022年7月15日

【新連載】加工食品の海外輸出の専門員が語る成功例、失敗例 ーvol.1:がんもどきをニューヨークへー

「加工食品の海外輸出の専門員が語る成功例、失敗例」と題し、全3回のシリーズでお送りいたします。

今回はその第1弾です!お楽しみください。

vol.1:がんもどきをニューヨークへ

国際課の支援専門員・小杉です。
私は食品メーカーで35年勤務しました。そのうち海外駐在と輸入、輸出に約25年携わりました。
退職後、貿易系の独立行政法人にて6年間、日本の中小企業様の輸出をハンズオン支援をした経験があります。

本シリーズにて、過去の輸出の成功例や失敗例をなるべく具体的にお話していきます。
まずは成功例から。(コロナ禍の以前の2019年当時の話です)

地方にあるがんもどきの会社・H社で、ある日、社長が営業担当の常務を呼び、こう話しました。
「がんもどきは国内でも需要は頭打ち。年々売り上げが減ってきている。何とか海外に輸出して、売り上げを作れないか?」

それに対して常務はこう答えました。
「わかりました。ただ、輸出に関しましては、外国語も輸出のノウハウも販売先もまったくどうしていいかわからないので、1年間、時間をください。この間に中小機構、日本貿易振興機構、県や銀行主催の海外展開の無料セミナーに参加しまくり、ノウハウを蓄積させてください」

そこから1年間、この常務さんは、国内販売の業務の傍ら、海外無料セミナーに毎月2-3回出て、
不明な点は積極的に質問をして勉強していきました。

私がお会いしたのは1年後の勉強終了時期で、対象国がある程度絞られ、自分の会社の強みや弱み(SWOT分析)をある程度把握されていた時期でした。

さっそく、米国・ニューヨークで日系輸出商の展示会に参加する機会を得ました。
英文のパンフレットやレシピも準備して、試食用機材も現地で購入し万端の準備をしていきました。
当日、会場では特に外食ユーザーやケータリング会社に高い評価で「どんな食材にでも使えるね、とてもおいしい」と食べていただきました。
しかし、冷静に考えたら、その展示会で来訪者の評価がいくら高くても、その商社にその時点で在庫がなければレストランにはすぐには納品できないことになります。
H社は、気合を入れて出展しましたが、現地商社からしたら、展示会に在庫がなく初出品した製品は「参考出品」程度にしか扱われていなかったことを悟りました。

それでも尻尾を巻いて帰国するのは嫌だったので、この商社の有力営業マンに同行販売をお願いして、本展示会の直後に再度展示会に来てもらったユーザーを訪問し、納品時期を確認、受注をとりました。

さらに、この商社の営業会議に出席して、営業マン全員に再度召し上がっていただき商品の定着を図りました。
おかげで、初回参加の展示会でしたが、何とか50ケースの受注に成功。
現地のレストランにも1か月後には納品でき、定番扱い商品として定着してきています。

今回の教訓。海外の展示会に出展できるからといって舞い上がっていても何も前に進めない。
日本でもそうですが、「商売に近道はありません」。
冷静に考えて、地道に販促活動を積み上げていくことも大事です。

国際化支援専門員とは

海外駐在や貿易実務など、海外ビジネス経験豊富な企業OBを国際化支援専門員として配置しており、
企業からの個別相談にアドバイスや情報提供を行っています!

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