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経営相談
掲載日:2020年4月24日

法人保険の「契約者貸付制度」を活用した資金調達方法について

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、短期的な資金調達が必要になることがあります。
国及び自治体による公的融資制度を活用したいと思うが、審査や手続きに時間を要するため、他の融資制度はないか、といったご相談があります。
今回は、法人契約の「契約者貸付制度」をご紹介させていただきます。

○契約者貸付制度とは○
契約中の生命保険の解約返戻金の一定範囲内(7090%程度)で、契約者が資金の貸付を受けることができる制度です。
一般的に、契約者貸付を受けている間も、保障は変わりなく継続し、配当金を受け取る権利も継続しています。
ただし、保険種類などによっては、利用できないことがあります。

○契約者貸付制度のメリット○
1. 保険を解約しないで済むこと
    契約者貸付制度によって資金調達は、当該保険の解約なしに実施できます。
    契約者貸付制度は、当該保険を一旦解約して、再度同様の保険に再加入するよりも、返戻率が高い状態で元に戻すことが可能です。
2. 迅速な資金調達が可能であること
    1週間程度で、「契約者貸付制度」での資金調達が可能です。
    原資は解約返戻金となりますので、公的融資制度や市中金融機関等融資のような審査はありません。
3. 金利が比較的低金利であること
    契約者貸付制度は、保険会社が資金を運用する運用利回りに一定の金利(+0.5%ほど)を上乗せした金利で借りることができます。
    市中金融機関等融資やビジネスローン等と比較すると、低金利(3.0%前後)となる可能性があります。
    金利は、原則、固定金利となるため、借りたときの金利がずっと続きます。
    なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、公的融資制度が拡充しているため、金利面では、公的融資制度の方が低金利となる可能性が高いです。
4. 返済条件がないこと
    契約者貸付制度は、いつ返済しても良いという特長があります。
    そのため、資金に余裕があるときに返済すればよいのです。
    もし、仮に返済しないで満期を迎えたときは、満期保険金から借入金を除いた金額が保険会社から支払われます。
5. 資金使途が自由であること 
    契約者貸付制度は、資金使途が自由であるため、翌年の保険料、設備投資資金や運転資金等といった様々な資金に利用することができます。

○契約者貸付制度のデメリット○
1. 解約返戻金よりも金額が少なくなること
    契約者貸付制度の目安は、70%~80%となる傾向が高いです。
    つまり、解約返戻金よりも、2030%程度の資金が減少してしまうということです。
2. オーバーローン失効の恐れがあること
    オーバーローンとは、契約者貸付及び保険料の立替金の元利合計額が解約返戻金額を超過する状態にあることをいいます。
    一般的には、返済しなければ金利が計上されて、1年を経過すると利息が元金に組み込まれます。
    金利は、将来受け取る死亡保険金又は解約返戻金に相殺されます。
    法人保険の契約者貸付で借入を行い、返済しないままでいると元金と金利が増えて借入上限額を超えることがあります。
    そのようなとき、保険会社から返済の案内が届きます。
    返済の案内の条件に従って返済しなかったとき、当該保険が失効する恐れがあります。
3. 希望する借入金額に達しない恐れがあること
    契約者貸付制度は、解約返戻金の一定の範囲から借入を行う制度となるため、借入期間が短い契約者及び借入希望金額が高額等であるとき、希望する金額を満たさない恐れがあります。
4. 契約者貸付制度の使用中の解約返戻金は全額課税対象となる恐れがあること
    契約者貸付制度の利用、かつ、返済していない状態で法人保険を解約するとき、受取る解約返戻金は全ての金額が課税対象となります
    法人保険を解約したとき、解約返戻金から利用した契約者貸付分と金利が相殺されて、残金が手取りの金額となります。
    なお、帳簿上の評価は、実際の手取りの金額となるので、評価が0(ゼロ)とした保険を解約返戻金として、一旦現金化して、その後、利用した契約者貸付と金利で相殺させることになります。
    そのため、手取りの金額は少ないとしても、決算時には解約返戻金の全額が雑収入として処理されることにより、黒字のときは解約返戻金の全額が課税対象となります。
    会計処理については、顧問税理士に必ず相談しましょう。

○契約者貸付制度の手続き○
1. 保険会社の担当者に相談します。
2. 契約者貸付制度の申込書(以下、「申込書」とする。)を入手します。
3. 印鑑証明書、保険証書を用意します。
4. 申込書を記載します
5. 保険会社の担当者に必要書類(申込書、印鑑証明書、保険証書)を提出します。
6. 1週間程度で入金されます。

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