高度外国人材の採用、実際どうなの?

採用担当のリアルな声から見えてきたこと
人手不足が続く中、多くの企業で「外国人材の採用」が選択肢の一つとして現実味を帯びています。特に近年注目されているのが、「高度外国人材」の活用です。専門性を持ち、長期的な戦力として期待される彼らですが、実際に採用を検討・実施している現場では、どのような課題や工夫があるのでしょうか?
今回は、金属製品の表面処理(めっき)を中心に、異業種のプレス加工、パーキング事業など、多角的な事業展開を進めている株式会社イワセを訪問し、外国人材――特に「高度外国人材」の採用について、現場の声を伺いました。
株式会社イワセ 専務取締役 岩瀬氏からの事業説明
特別な戦略ではなかった外国人材採用
株式会社イワセでは、現在外国人従業員が約10名在籍しており、すべて永住者です。
もともと難民申請を経て日本で暮らしている人たちで、日本語でのやり取りにも支障はありません。
現場からは「手間がかからない」「普通に戦力として活躍してくれている」といった声が聞かれました。
実は、高度人材の採用を意識し始めたきっかけは、「日本人の採用が思うように進まなかった」という背景がありました。つまり、高度外国人材の採用は、特別な戦略ではなくごく自然な選択肢として浮上してきたのです。
高度外国人材に対して「現実的な労働力確保の手段」さらに「会社の成長に担う存在」として前向きに捉え始めたという印象でした。
職場のリアルをそのまま伝える面接
株式会社イワセでは、先日「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で数名の外国人候補者との面接を行いました。面接では、あえて職場のリアルな姿をそのまま伝えるというスタイルを取ったといいます。
「うちは小さいし、古いし、給料もそんなに高くない。だから、実際に見て判断したほうがいいよ」などの面接時の話がありました。
この“意地悪く聞こえるかもしれないけど、正直な説明”が、むしろ相手との信頼をつくる第一歩になっていると考えられます。
岩瀬氏の考えとしては、高度人材が本当に現場にフィットして、長く働いてくれたら「それはもうラッキー」。現時点では、高度人材の確保を“会社の未来への投資”と位置付け、焦らず慎重に進めているとのことでした。
高度人材は“可能性”であり、“試される鏡”でもある
岩瀬氏は「外国人材の採用=人手不足の即解決策」とは考えていません。むしろ、外国人材を通じて社内の体制や職場環境を整えることで、将来的な日本人採用にもプラスに働くという視点で取り組んでいるとのことです。
株式会社イワセの取り組みを通じて見えてきたのは、高度外国人材を採用するには、会社側にも覚悟と準備が必要だということ。制度や在留資格があっても、現場で育て、支える体制がなければ定着にはつながりません。
しかし逆に言えば、そうした体制づくりを通じて、企業そのものがレベルアップしていくきっかけにもなります。
高度外国人材は、ただの労働力ではなく、「会社の未来を映す存在」と言えるでしょう。
「人材を活かせる会社」が、人材からも選ばれる時代。高度外国人材は、そのきっかけの1つになるかもしれません。