金庫株制度の活用で後継者問題を解決!
金庫株とは
「金庫株」とは、会社が発行済の自社株を株主から買い戻し、消却や譲渡をせずに金庫に保管するなどして手元に置き、自社で保有する自社株式のことをいい、正式には「自己株式」といいます。
これまで、会社の財産的基盤を危うくさせる恐れがあるとの理由から、原則として自己株式の取得と保有は禁じられていましたが、平成13年の第151回通常国会において、自己株式の取得および保有規制の見直し等を内容とする商法改正が議員立法として行われ、この商法改正により、会社は、一定の制限の下、定時総会の授権決議に基づいて自己株式を取得することができるようになり、取得した自己株式については期間、数量等の制限なく保有できることになりました。これが、いわゆる金庫株の解禁です。
自己株式は、買い戻しにより市場に出回る株式数が減少するので、1株利益や自己資本利益率を改善する効果があると言われており、上場企業では配当に並ぶ株主還元の手法として活用する企業が増えています。
金庫株制度の活用
それでは、中小企業の事業承継の現場ではどのように活用されるか見てみましょう。
分散している自己株式の買い戻しにあたっては、支配権を固めるという意味では後継者個人での買い戻しが望ましいと言われていますが、個人的に買戻し資金を準備することは容易ではありません。こうした場合、会社が金庫株として取得する方法も検討されてはいかがでしょうか。
会社による自己株式の取得は、目的に関係なく株主総会の普通決議(特定の株主から自己株式を取得するためには、株主総会の特別決議が必要)があれば、自己株式を自由に取得・保有してよいこととされています。
自己株式の取得
自己株式を取得するためには、株主総会の決議により次の事項を定める必要があります。
- 取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類および種類ごとの数)
- 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容およびその総額
- 株式を取得できる期間(一年を超えることができない。)
なお、自己株式は、原則として「分配可能額※」の範囲で取得することができるとされています。
※会社法および会社計算規則が定める「分配可能額」の計算はとても複雑なので、ここでの説明は割愛させていただきます。
また、保有する自己株式は、貸借対照表上、純資産の部の株主資本に自己株式の勘定科目を設け、純資産の部の合計から控除することとなっています。
自己株式の保有
自己株式の保有に関しては制限はありませんが、会社が保有する自己株式には、議決権がなく、配当を受け取る権利もありません。
金庫株制度の課税関係
金庫株制度に関する課税※には、(1)みなし配当課税と(2)譲渡益課税の2つがあります。
(1)譲渡価額-売却した株式に対応する資本金等の額=みなし配当
(2)売却した株式に対応する資本金等の額-所得価額=譲渡損益
※ 詳しくは、顧問税理士等にお尋ねください。
適正価額の計算方法
会社が自己株式を取得する場合の適正な価額は、一般に、法人税法上の時価が利用されます。
この場合、課税上の弊害がなければ、実務的には国税庁の「財産評価基本通達」により計算した価額が準用されます。
このブログ記事の詳細は、専門知識が必要となることも多いため、税理士、弁護士などの外部専門家へご確認されることをお勧めします。
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